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恋は人を変える。
恋愛

恋は人を変える。

恋は人を変える。

髪型を変えるより、仕事を変えるより、住まいを変えるより、何より手っ取り早く、自分自身をガラッと変えてくれるもの、それが、恋。

オイラがワタシになった日のこと。

転んで膝を擦りむいたなら絆創膏を貼ればよい。咳や鼻水が止まらないなら身体を温めて眠ればよい。だけど、この場合の痛みはどうやったら消えるのだろう。胸のあたりをつねられたような引っ掻かれたような鈍器で殴られたような、違う、どれも当てはまらない。うまく症状が言えないから病院にさえ行けない。

この痛みを味わったは、小学二年生の夏。

短く切りそろえた髪に野球帽を被り、ポッケに手を突っ込み、ガニ股で歩くボーイッシュな女の子は、自分のことをオイラと呼んでいた。自分は男だ!と信じてやまなかった女の子が、「私は女だ」と知ったのは、彼の仕業だ。

金髪のロングヘアーをなびかせ、「ハロー!」とウィンクをして、華麗に登場。チャラい感じの見た目とは裏腹に、澄みきった声と爽やかな笑顔は、一瞬で私を虜にした。近所でよく遊んでくれたお兄さんだ。

男子に混じって、馬鹿騒ぎをしていた’オイラ’は、金髪のお兄さんの前では、’オイラ’を見失った。

特別なことをしてもらったわけじゃない、ただ彼を見るだけで、身体中が石のようにカチンコチンになる。ギリシャ神話のメドゥーサとでも言おうか。

誰にでも陽気にイタズラを働くオイラは、彼にだけはぎこちない。だから、とにかく避けることに専念した。そんな私に、いつも必ず一言だけ「よ!」と声をかけてくれた。

時は流れて中学二年生、制服のスカートにもなれた頃。初めて彼氏ができたのだ。それは同じクラスの男の子。相変わらず私はオイラだったけれど、そのままの私を好いてくれたのか楽でよかった。なんとなくこれが恋愛なのかと楽しんでいたけれど、時折、金髪の記憶が私を襲う。この原因不明の心の痛みを直すには、金髪と向き合うしかないのかもしれない。同級生の彼に別れを切り出す。「忘れられない人がいて」と言った私の言葉に、一番驚いたのは私自身だった。自分の発した声が自分の耳に入ったその時、初めて気がついた。「私は、金髪のこと、好きなんだ。」あの痛みは、好き、という症状だったんだ。

それから、金髪の好きなタイプを探った。大人っぽくて、髪は長くて、ある美人女優さんの大ファンで、いいところのおぼっちゃまで、、、探れば探るほど、私とは程遠い。しかしひとつだけ、共通点を見つけた。その美人女優さんの左目の下にはホクロがあって、私にもあったのだ!「あ、いけるかも!」とるんるん小躍り。バカが役立つのはこういう時だ。髪を伸ばし、死ぬほど嫌だったスカートをすすんで履き、お化粧を覚え、一人称がやっと、オイラから、「ワタシ」になった。おっぱいが大きくなったのもこの時だ。ワタシはこの恋の症状による痛みをなんとかせねばと戦うことを選んだ。

この恋の行方は…つづく。

幼い頃の記憶を手繰り寄せてみると、いかに傷つきやすく敏感であったかが鮮明にわかる。大人になるにつれ、少々のことでは傷つかなくなった。それは、強くなった反面、鈍感になり、自分の心の変化にさえ気づかなくなってしまっているということ。子どもの頃に戻ることは叶わないけれど、自分の心の変化に気づくことは出来る。忙しい毎日だけれど、少しだけ、自分の心が今、何を思っているのか。耳を傾けてあげると、また違った美しい未来が待ちわびていると私は信じている。

恋から遠ざかっているあなたへ、

少しだけでいい、自分の心のうつろいを見つめてみたら、明日が少し違って見えるかも。

松島 彩
このコラムを書いた人

松島 彩

島根県出雲市在住。山陰土着系女優。

テレビが大好きな幼少期。
「女優になる!」と騒ぎ立て、親の反対を押し切り、14歳で映画「着信アリFinal」に出演を果たす。

現在、『山陰土着系女優』と名乗り、映画・朗読・演劇など、枠にとらわれない山陰ならではのエンターテインメントを追及している。

2018年2月公開予定の映画「裸婦‐Laugh‐」では、監督・脚本・主演を務める。

毎週土曜、山陰中央テレビ「ヤッホー!」に出演中。
カンヌ国際映画祭のレットカーペットを歩くことを目標にかかげながらマイペースに田舎生活を謳歌しています。

プロフィール写真:撮影 いしとびさおり

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